「労働安全コンサルタント」とは
労働安全コンサルタントとは、労働安全衛生法で規定された国家資格です。
毎年10月に実施される筆記試験および翌年1月下旬から2月上旬に実施される口述試験に合格し、登録を受けること
により、労働安全コンサルタントとなることが可能です。
具体的には、「労働安全コンサルタント試験に合格した者は、厚生労働省に備える労働安全コンサルタント名簿に氏名、
事務所の所在地その他厚生労働省令で定める事項の登録を受けて、労働安全コンサルタントとなることができる。」と
規定されています。
また、業務については、「労働安全コンサルタントは、労働安全コンサルタントの名称を用いて、他人の求めに応じ報酬を
得て、労働者の安全の水準の向上を図るため、事業者の安全についての診断及びこれに基づく指導を行うことを業とする。」
と規定されています。
「労働安全コンサルタント」の業務
労働安全コンサルタントの業務は、事業場の安全診断や安全教育および労働安全マネジメントシステムの監査などです。
具体的には、次のような業務が可能です。
(1)事業場の安全診断および指導
労働基準監督署の依頼に基づき、重大な災害が発生した事業場等に対する再発防止対策の立案およびその対策の
実施を行うための指導や実施状況の診断など、事業場の安全水準の向上を図るための支援業務が可能となります。
(2)労働安全衛生マネジメントシステムの監査員、評価員
労働安全衛生法第28条の2では、「危険性・有害性等の調査と低減措置を講ずることに努める義務」が規定されており、
リスクの特定と見積り・評価および低減措置の実施が必要となっており、このリスクアセスメントを体系的に実施するツール
である「労働安全衛生マネジメントシステム」の監査(評価)を実施することが可能となります。
また、これらに関して、労働安全マネジメントシステムの構築やリスクアセスメント実施を支援するためのコンサルタントの
業務が可能となります。
(3)安全管理者教育をはじめとする各教育の講師業務
安全管理者になるためには、9時間の研修を行わなければならないことが規定されています。
さらに、「この研修を適切に行うために必要な能力を有する講師により行われるものであること。」と規定されており、労働
安全コンサルタントがその講師の役割を担うことが可能です。
また、安全管理者教育の他に新規入場者教育、特別教育などの講師としての業務が可能です。
(4)外部委託「安全管理者」業務
事業場において、安全管理者を選任するには、適任者に上記(3)に記載した9時間の研修を受講されるか、もしくは
事業場の対象者に代わって外部の委託契約の「労働安全コンサルタント」を指名することができます。
このため、専門の安全管理者の設置が難しい中小規模の事業場や複数の安全管理者が必要な大規模事業場では、
外部の労働安全コンサルタントが必要となります。